♪ La Bamba ♪
第五話
始まり々々
何ごとも基礎が大事、、、なんてこの歳になっていうのも小恥ずかしいんですが、整地を始めて土台を固める迄に、一ヶ月近くかかりました。
土台になる大きな石を埋め込む深さ1メートル程の溝や、27立方メートルの地下水槽用の穴掘りはブルドーザーを使ったのにこれだけかかったんですから、全部人力でやっていたら大変だったと思います。
働く人は棟梁とその兄弟二人に時折一人か二人の助っ人が入るだけでしたが、紹介してくれた人の言う通り、実に良く働く人たちです。
溝掘りなんかも自分達でやればそれだけ収入が増えるのに、機械を入れて早くやった方がいいと良心的なのも気に入りました。
私の質問やら、注文やらにも対応するのは棟梁だけで、兄弟達は笑顔一つ見せず、黙々と働いているのは、自己主張が強くなにかと意見を言いたがるこの国の人としては珍しい存在だと思います。
訪問者・事件
前にもお話しましたけど、私の土地の中には近所の人たちが通りあたかも公道のような道がついています。
工事が始まれば、多少は遠慮するかと思ったんですが、全くその気配は無いみたいです。
畠の中ですから、そんなに頻繁という訳じゃないんですけど、徒歩の人、自転車、自動車は言うに及ばず、一日の仕事を終えて、拾った薪を積んでかえるロバがボタボタと糞をしながら通ったりします。
そんなある日、現場にいたC君から、大変だ、すぐ来いと言うケータイが入りました。 私の家がいままでの道を塞ぐのはけしからんと言ってきた人がいるとのことでした。
私が駆け付けた時にはもうその人はいませんでしたが、大変な剣幕だったそうで、私が、村長に中に入ってもらおうと言うと、実はその人がもう村長をつれてきて、村長も一緒になって息巻いていったんだそうです。
こういうことも有ろうかと、何代か前の村長で、なにかと力になってくれる人に前もって相談しておいたのですが、私有地なんだから、全くシャットアウトしても問題はないし、まして多少遠回りにはなっても通行の便宜をはかるんだから文句は言えないといわれていました。
C君もここを通りそうな人たちを何人か訪ねて了解を貰い、農地管理の上部機関にも行きお伺いをたててくれました。
ま、そんなことで、計画を変更する気は全く有りませんでしたが、弱ったのは棟梁がごたごたに恐れをなして、引き上げてしまったのです。
C君の取りなしで、棟梁も翌日からは仕事を再開してくれ、その後は順調に進みました。
そんな一日、家内の発案で、棟梁達が昼食をとる時に食事を持ち込み、彼等が使う簡易コンロであたためて一緒に食べる会を開きました。
ところが、序でにと招んだ人が又人を招ぶという、この国の習慣をうっかり忘れていて、棟梁達がそそくさと食事を済ませた後、母屋を乗っ取った人たちの団らんの場となってしまいました。
そして、とうとう
そうして、2月2日、とうとう、待ちに待った煉瓦積みが始まりました。 棟梁が、積み方に提案が有るというので、何を大袈裟なと思いましたが、それには訳が有りました。
積んだ後表面をモルタルなんかで上塗りする場合は、無造作に積みますが、煉瓦をそのまま見せる場合には、丹念に積み、間につめたセメントがはみだしたのを丹念に仕上げます。
で、提案というのは、その仕上げ方なのです。
二次元の写真で見せるのは難しいのですが、要するに、普通は煉瓦と間につめた目地とを凹面でなめらに仕上げるだけなのですが、彼の提案というのは、目地を1、2ミリへこませ、立体感を出すのです。
ジャーン!!!!!
積み上げ開始後、三日目
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