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♪ Alicia adorada ♪
panchos


cactus2
 第四話

産地直売
焼きたてのレンガ

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 レンガで家を造るっていうと、ちょっとエキゾチックな感じがするのは日本人だからで、メキシコでは、そこら中の家は煉瓦づくりで、金持ちの白壁の瀟洒な家も、上塗りを剥がせば壁はみんなレンガ積みなんです。 でも、私はやっぱり日本人だからレンガには思い入れがあるんです。
 狼と三匹の小豚の紙芝居を見た幼児体験の所為でしょうか。
 そのレンガを造ってるところが、我が家の建築現場から1キロ程のところに有るってんで、嬉しくなりました。 だって、焼いたそばから家が出来上がっていくっていうんですから。
 そこは建築現場へ行く道の脇に有って、普段はただの荒れ地みたいなんですが、ある日気がつくとモクモクと煙りが上がってるんで近付いてみました。

 それは4メートルほどの高さに積まれた土塁で、中で火が燃えているのが炊き口から見えます。(写真左)
 そばに燃料が積まれているんですが、古着やなんか燃えそうな物なら何でもありといった感じのゴミの山です。
 焼き上がると、右の写真のように土塁は取り除かれ、見事に積まれたレンガの山があらわれます。
 下段が壁などに使われる普通の煉瓦で、上段の薄いのが天井に使われるもので、合計3万5千個だそうです。
 焼く前のを生の煉瓦というんだそうですが、それを積んで、周りに普通の煉瓦の4、5倍はありそうな大きな煉瓦を立て掛けるようにして積み、崩れないようにアドベという泥で固めて、土塁のようにします。 その中で火を炊き、焼けたら周りの土塁を取り除くというサイクルを、20日ぐらいの周期でくり返すんだそうです。
 で、その生煉瓦はどこから持ってくるのかって尋いたら、そこに有るのがそうだって指差されました。
 それは、さっきから気がついていたんですが、セメントでできたブロックだと思っていた物でした。
 ええ?煉瓦になる土って赤いんじゃないのっていったら笑って、ほれ、そこでこねてるでしょって言われて見ると、一人の男が一輪車に水で練った泥を積み込んでました。
 何だ、このへんのと同じ土だって言うと、それが違うんですよって、手のひらで掴んでみせてくれました。
 この辺の土だと指の間から粉みたいにこぼれ落ちるんですが、その土はしっとりとしているんです。


土を水で練って一輪車で運ぶ
地面の上に型で整形して並べる 一週間程日干しにして積み上げる


 土をこねて焼くって、単純な技術の中にも、土の選び方、生煉瓦の積み方など、隠されたノウハウが有るんだなぁって感心させられました。


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