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第六話
水はどうなる
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失業対策の浄化槽
煉瓦積みが順調に進んだのは良いんですけど、6千個あった煉瓦が一週間でなくなりました。
慌てて、第4話で御紹介した御近所の工場に追加注文したんですけど、あいにく在庫切れで1、2週間待たなければならなくなりました。
やむなく、配水管の設置を繰り上げて始めることにしました。 それでも、働き手を増やしたばかりで、手が空いてしまうと棟梁がこぼします。
参ったなと思いつつも、浄化槽探しを始めましたが、C君も棟梁も浄化槽なるものを見たことがなく、そんな物は売ってないんじゃないかと言います。
ゴルフ仲間の土建屋に尋いたら、メキシコにもあるよって言うんで、行ってみました。
実物は無く、簡単なパンフレットだけで、名前は確かに下水処理タンクとなっていますが、直系と深さがそれぞれ1.5メートルくらいのプラスチックタンクで、とても浄化するとは思えません。
市の汚水処理場が有るんですから、浄化という概念は有るんでしょうが、どうやらそれの家庭版というのは無いようです。
C君によれば、この辺りでは、地面に大きな穴を掘り、天井だけはコンクリートで被い、その中に流し込んだのが、地中に吸い込まれる方式で、それで良いじゃないかといいます。
でも私には嫌な思い出が有ります。 私が日本で初めての家を持った時、浄化槽を使ったのですが、浄化された水は地中に吸い込ませる方式だったのが、土質が悪くよく吸い込んでくれず、そのへんに溢れるというみじめな思いをしたのです。
ネット検索で浄化槽の構造やら仕組みを見てみると、特別な仕掛けは無く、要するに、排泄物自身の含んだ微生物の働きで、浄化されるみたいです。
それだったら、自分でも作れるかも知れない、どうせ、ナマで流すつもりなら、うまく浄化されなくても、もともとじゃないか。
盲、蛇に怖じずかも知れないけど、仕事がなくて困ってる棟梁のためにも、手作り浄化槽を作ることにしました。
高校の同窓で化学の道に進んだ日本の友人からメールで貴重なコメントを貰い、着工です。
棟梁は、たかがふん尿の始末に、大袈裟なと思ったようですが、仕事が出来ていたく御満悦です。
井戸とは言うけれど
下水のお話をしたので、上水についても御紹介しましょう。 上水は1.5キロ程離れたところの井戸から引いて来ます。
日本的感覚から井戸と言うと、直径が1メートルくらいあって、覗き込むと下の方に暗い水面が見えて、オーイって言うとコダマがかえってくる。 そんなのを期待しますが、この辺りのは、地中に打ち込まれた鉄管からポンプで吸い上げているのがほとんどのようです。
深さも、10メートルや20メートルじゃなく100や200はざらだそうです。 それだけ掘らないと出ないってことは、緑豊かなところじゃないとも言え、ここも、なんでもない畠の脇と言う感じのところです。
汲み上げられた水は、あぜ道沿いにある開放水路を通って送られますが、係りの人が交差点に障害物を置いたりして、水の流れる方向をコントロールします。
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汲み上げポンプ、直径6インチ
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配水槽に流し込む
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あぜ道沿いの水路
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泥の固まりなんかで流れを変える
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