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♪ Historia de un Amor ♪
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cactus2
第九話

技術屋バカ その1

cactus2

 会社を辞めたら、技術的なことからはスッパリ足を洗えると思っていたのですが、三つ子の魂百迄とは良く言ったもので、家を建てるとなると自分で図面を引いてみたくなりました。
 現在住んでいるこの家の時も、図面は自分で引いたのですが、当時は仕事の虫で、建築現場に行くのは人影のない夜とか、週末だけで、そこで働く人たちの仕事振りをつぶさに見ることは出来ませんでした。
 それと、出来上がった時に使い勝手がどうかという方に関心があって、近代工法で出来上がっていくプロセスにはあまり興味がありませんでした。
 でも、今度は煉瓦を積むということからはじまり、機械はほとんど使わず人手で出来上がっていくということにとても興味があり、ほとんど毎日建築現場を覗いています。
 で、その一端を、なぁーんだって言われるのを覚悟で御紹介しましょう。



1)  まずは、テペタテと呼ばれるかたい地層に達する迄、約1.5メートルの溝を掘り、そこへぶち割った岩を並べてコンクリートで固めて土台を作ります。
2)  そして、各部屋の角に柱にするための鉄骨を立てます。 鉄骨と鉄骨の間隔は最大でも4メートルにしなければならないので、長い壁の場合には途中にも柱が入ります
3)  鉄骨と鉄骨の間の土台の上に鉄骨と同じものを置いてコンクリートを流した上に煉瓦を積んで行きます。 作業は二人掛かりで、一人が積むともう一人が目地をならしていきます
4)  柱には未だコンクリートが流し込んでありませんから壁を支えるものは何もなく、いやでも煉瓦は垂直に積んでいかないと倒れてしまいます。 総ての壁をこの状態で高さ2メートル迄積むのですから、人間国宝に推薦したいところです。 積み終わると、この上に梁となる鉄骨を水平に渡し、柱と柱を繋ぎコンクリートを流し込みます。
5)  窓と梁の間に煉瓦を見せたい場合は、セメントが固まる迄、こうやって材木で支えてブリッジを作ります。 窓と窓の間隔が狭いと煉瓦だけのつのみたいになって(向こう側の部屋)は、ちょっと押すとぐらぐらするので突っかい棒が必要です(右の写真)。
6)  壁に埋め込むコンセントやスイッチに繋ぐ電線は、天井から柱を通って上から下に下りて来ますが、家の構造物は逆に下から上に作っていくので、構造が出来上がったあと電線を通せるように、柱の中にコンクリートを流し込む時にホースを埋め込みます。
7)  スイッチやコンセントをつけるため、壁に穴を掘って鉄の箱をつけますが、柱からそこ迄は煉瓦と煉瓦の間に溝を掘ってホースを這わせます。 だから、きれいにしたければ、スイッチは使い勝手を無視して柱の近くに置くのが良いのです。 なお、お金さえ出せば、壁の中に好きに配線できる煉瓦 (ここをクリック) というのもあります。 8)  棟梁から柱の好みはと聞かれて面喰らいました。 壁と同じ面に平らにするか、壁から少し出っ張らせ、角を面取りするかというのです。 ただの構造物と思っていたのですが、こんな質素なつくりにも、それなりの美意識があるのに感心しました。 写真はそのための当て板で、表面に油を塗って使います。
9)  下水の配管です。 土台を貫通しないといけないところがありますが、土台をぶち割る時の振動を避けるため、煉瓦を積む前におよその工事をします。 なお、2階に浴室や台所を作る場合、電気配線と同じように、柱や梁の鉄骨の中を通すことができます。




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