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♪ Cachita Mia ♪
panchos


cactus2
第十八話

アスタマニャーナ

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 6月の末に建て屋の工事が終わったんですが、ここまでは途中で当局からの工事停止命令が有ったことを考えると順調で、アスタマニャーナのメキシコらしくないペースで進みました。
 あとは電気を引いて来るのと、作り付けの家具だけだから、意外と早く入居出来るかなと思わせました。
 電気の方は鉄道を横切る許可を貰うんだから3、4ヶ月はかかると聞かされていましたから早くてもあと2ヶ月、家具はいくら遅くってもその前に終わるだろうと思ったわけです。
 ところがどっこい、建て屋を造った棟梁みたいなメキシコ人は例外中の例外だと言うことが分かりました。
 電気の方はもう来週には許可が下りるから、それから2週間で電気が使えますって何度となく言われたんですが、その都度役所と鉄道会社の所為にされました。
 C君が役所に直接問い合わせて分かったんですが、申請書の不備で何度も突き返され、受理されるまでになんと4ヶ月もかかっていました。
 大工の方は最初の2週間程は数人掛かりでとんとんと進んだんですが、そのあとはニス塗の職人が一人来たり来なかったり、来てもオンボロの携帯発電機やコンプレッサーの修理ばかりしていて、一向に捗りません。
 ま、愚痴っぽくなりましたけど、建て屋の方に進展がないので、周りの環境整備の方を御報告しましょう


芝生
 7月に入って夕立ちが良く降るようになったんで芝を植え付けることにしました。
 まだ、電気がなく散水ポンプが使えないんですが、雨季のあける10月までには使えるようになっている皮算用だったんです。
 建て屋の前の100平米だけに植えるんですが、この町にはゴルフ場で使うバーミューダ種が無いので、250キロ程離れた町まで買いに出かけました。
 山を一つ越えて行くんですが、そこはがらりと気候が違いここよりずっと雨が多いんです。
 そのせいかどうか、行ってみると連日の雨でぬかっているから今日は芝の切り出しが出来ないと言われました。
 事前に聞いてから来るべきだったと悔やんだんですが、せっかく来たんだからって芝の畑まで行ってみました。
 すると、バーミューダの植わってるとこは駄目だけど、よく似たライグラスなら切ってあげるよと言われました。
 ライグラスは根を広げて増えていくタイプでないので、一度禿げると種を播くか切り貼りしないといけないって言われたけど、冬でも黄色くならないってのが気に入って、C君のとあわせてトラック二台分買って帰りました。
pasto_campo
pasto_camioneta
pasto_jardin
pasto_wallace
pasto_don
切り出しは意外にも機械 V8気筒、6Ltrだから大丈夫か 並べて見ると意外に少ない 早くも感触を楽しむワン公 90才の御老人も張り切って
 皮肉なもんで、雨が多くって切り出せないって言われたのに、買って帰ると今度は雨が降りません。
 夕方空が真っ黒になり今にも降り出しそうなんですが、その雲がこっちへ来ないんです。
 電気は無いし、大工の携帯発電機も馬力不足でポンプが働かず、水槽から釣瓶で汲み上げるんですが、深さが3メートルもあるんで、もうヘトヘトです。


maiz_2 maiz_1  家内がC君の助けを得て植え付けたカボチャ、マメ、トウモロコシは雨のおかげですくすくと育って来ました。 でも、10月に入りめっきり雨が少なくなっても、畠に水やりしないんです。 聞けば、水資源保護の為、雨だけで育てる方針なんだそうです。 主旨は分かりますが、御近所さんの畠からは井戸から引いて来た水が溢れて、道がぬかるんでいるのを見るとなんか割り切れません。 御近所のトウモロコシは背丈をこえるような見事なものばかりなのに、うちのはやっと目の高さで、実も貧弱です。
カボチャも
八百屋さんにありそうなのも
いくつかは有りますけど
多くは
立ち枯れみたいで
粒も揃っていません
caravaza_1 caravaza_2 なによりも
可憐な花をつけた雑草と
いかにも堅そうな地面が
プロの畠とは違います。
 大豆にいたっては雑草と見分けるのが難しいくらいで、それでもよくよく見ると、枯れ葉のような色の実がついています。
 でも、C君に言わせると、これでもちゃんと食べられるようになるそうで、問題は水よりも機械や人手をかけて土を掘り返し、根を深くはれるようにしてやることだそうです。
 でも、こんな小さな土地でそんなことをしたら、全然ペイしないので、零細なお百姓さん達はこうするんだと言うことです。
frijoles_2 frijoles_1
cosmos   やれ、水資源の保護だの零細農家の経営学だのって言われるけど、ふと思ったのは、要するにその昔のインディオ時代の農業と同じだってことです。
 誤解のないように言いますが、これは別に軽蔑してるんじゃありません。
 私がここに住みたいと思ったのは、出来るだけ自然に触れたいからで、原始のまんまの食料づくりなんって、なかなかオツなもんじゃないですか。

 そうこうするうち、季節は秋に入り、苗木の根元に播いたコスモスが大家を包み込んで満開になりました。
あと一月もすると、中から苗木が現れ、それもやがて枯れ葉を落とすことでしょう。
それまでに電気が引けているといいのですが、、、、、、




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