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第十一話

技術屋バカ その3

天井裏の秘密

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 土台、壁、柱、梁と進んで、いよいよ屋根造りがはじまりました。
 柱が建つと屋根が載る日本の木造建築は屋根から下に向かって家が出来ていくと言われますが、ここメキシコでは下から上に向かって出来ていきます。
 メキシコにも瓦屋根というものが有りますが、それは金持ちの家の飾りで、雨をしのぐためでは有りません。
 庶民の家の屋根はコンクリートと煉瓦で造ります。
 コンクリートの上に煉瓦が載ると思うのが普通ですが、それが逆で、煉瓦が部屋の中側で、コンクリートが空に向かっているのです。
 壁なら下から上に積んでいけば良いのですが、天井の煉瓦って、ニュートンの法則に逆らって、どうやって貼っていくのでしょう。
 もう一つ面白いのは、天井イコール屋根ですから、屋根裏と言うものが有りません、電気の配線はどこを這わせるのでしょう。

 では、それを御説明しましょう。

 下の写真で左から右に御覧ください。
 まづ、屋根を支える梁です。 一番長いもので10mあります。 これを60~70cm間隔で並べます。
 煉瓦は27cm X 14cm ですから、どうやっても梁と梁の間には届きません。 そこで梁と梁の間に橋をかけますが、それが左から2枚目の写真です。 写真を拡大すると分かりますが、この橋はは望遠鏡のように伸縮して長さが調整できるようになっています。
 梁と、橋が格子状に並んだ訳ですが、そこへ普通の煉瓦の三分の一ぐらいのあつさの煉瓦を並べながら、間にセメントをつめていきます。
 一昼夜経つと橋をはずしても煉瓦は落ちません。 その上にコンクリートを流す訳ですが、その前にすることが有ります。
 




天井を支える梁。 60~70cm 間隔で壁と壁の間に並べる。
(右端写真の上下方向にに走っている)
梁と梁の間にわたし煉瓦をのせるための橋。
(右端写真の左右方向に走っている)
梁と橋で出来た四角形の上に煉瓦を載せて、間にセメントをつめる。
一昼夜放置したあと、橋をはずす。
 コンクリートを流す前に配線の為のホースをレイアウトします。 第九話でもお話しましたが、右の写真のように、スイッチやコンセントをつけたいところの壁に穴を掘ってブリキの箱を埋め込み、そこから電線を通すホースを柱まで這わせ、取り敢えず柱のてっぺんから突き出しておきます。 そして天井の煉瓦ばりが出来たら、それら突き出たホースをつなぎ合わせます。 つなぎ合わせの場所は電燈を釣り下げるためのブリキの箱が利用されます。電燈とは関係ない電線も兎に角ここでしかつなぎ合わせられないので、左の写真のように、まさにたこ足配線となります。
 ホースが無理に曲げられているところも有り、この中に直接電線を通すのは難しいので、右の写真のように、針金を通しておいて、これに一方の端を縛り付けて反対側から引っぱり出します。 この針金も一旦引き抜いたら、もう一度通すのはまず不可能だそうで、誤配線は全く許されません。

ホースの上にコンクリートが流され屋根が出来上がると、もう修正できないのですが、どんどん進んでしまいます。
よろずのんびりしたメキシコで、どうして配線が正しいことを確認するまで待てないのか不思議です。
絶対間違えないという自信過剰なのか、間違えたらニ・モード(仕方がない)ということなのでしょうか。


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